野球肘

野球の投球動作そのものが、肘関節には大きな負荷がかかっています。
投球動作は、コックアップ期、加速期、フォロースルー期にわけられますが(図1)、肘関節の障害の多くは、加速期とフォロースルー期の動作で発生します。
加速期では、肘関節の内側には牽引力が加わり、外側には圧迫、回旋の作用が生じます。フォロースルー期では、肘関節の後方に圧迫、衝突が生じます。
肘関節内側の障害は、内側靭帯の微小断裂による炎症が多く、成長期では内側靭帯付着部の上腕骨内上顆の骨端の障害も生じます。投球時に肘内側に痛みがあり、疼痛が強いときは肘関節が伸びなくなります。

図1

肘関節外側の障害は、上腕骨小頭の骨軟骨障害(離断性骨軟骨炎)が主体です(図2,3,4)
この障害は、成長期の関節軟骨や骨が未熟なときに発生します。痛みに加え、肘関節の動きが悪くなりことが多く、肘が伸びなくなったり、曲がらなくなったりします。障害が進行し、遊離体となった時は肘のロッキングを生じることがあります。
肘関節後方の障害は、主に高校生以降に発生することが多く、肘頭の周囲に骨棘が生じ、肘後方の痛みと、肘が伸びなくなります。

図2
図2
図3
図3
図4
図4


[ 治療 ]

障害発生の基盤には”投げすぎ”があり、投球動作の制限により肘の負担を軽くすることがまず必要です。
肘内側の障害では、内側靭帯の炎症を静める局所の治療の他、肘に負担のかからないような投球動作の改善も必要です。離断性骨軟骨炎は治療が長期にわたります。
病初期であれば投球制限のみで治ることがありますが、進行するに従い手術治療が必要になることがあります。
当院では治癒が期待できないと判断した時は、骨軟骨病変を骨釘で固定する治療を行なっています(図5)
完全に遊離している場合は、5mm以下の小さい遊離体であれば摘出のみを行ないます。1cm位の欠損をなった場合は膝関節から骨軟骨片を採取して移植を行なう手術を行なっています(図6)

図5
図5
図6
図6


文責:菅原 誠