半月板損傷

半月板は膝関節の中にあり、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある線維の豊富な軟骨です。
半月板は関節に加わる体重の負荷を分散させるクッションの役目と、関節の位置を安定にする働きをしています。
(画像1:膝関節の内部構造)半月板が傷ついてその機能が損なわれると運動時に関節の痛みが起こり、関節に負担がかかることで変形性関節症(膝のすりへり)になる危険があります。

画像1:膝関節の内部構造


半月板損傷はスポーツでの膝関節の外傷では最も多いものの一つで、膝をねじった時や本来動かない方向に力が加わると起こりやすく、その場合は関節を支える靭帯を損傷することもあります。
また明らかな外傷ではなく半月板が損傷することもあります。その原因として、外側円板状半月板という生まれつきの形の問題(半月板が幅広く分厚いため関節の中でひっかかりやすい)や加齢にともなう半月板の変性を基盤としていることが考えられます。

[ 症状 ]

突然に起こる膝の痛みで、関節を動かす時や体重をかけた時に特に強く痛みを感じます。
関節内に水や血液が溜まることもあります。
膝の中で物がひっかかるような感覚を感じたり音が鳴ったり、膝がずれるような違和感が起こる場合もあります。

[ 診断に必要な検査 ]

診察で半月板損傷を疑われた場合、確認のための検査が必要です。
早期には半月板損傷だけではレントゲン上の明らかな変化は現れません。
半月板の形や損傷の位置・程度を診断するにはMRI検査が必要です。

[ 治療方法 ]

半月板は損傷があるからといって,そのすべてが手術の対象となるわけではありません。
早期に手術が必要なのは、痛みに加えて半月板のひっかかりで膝が動かないなどの症状がある場合です。また、痛みが長く続き、くり返し水が溜まるなどの症状があって、スポーツ活動、日常生活、職業上大きな支障がある場合手術が必要です。

( 保存的療法(手術以外の治療法) )

膝が腫れや痛みが強い時は、患部に負担をかけないよう可能な範囲で膝の安静を保つことが基本です。強い痛みがある場合は、痛みや炎症を抑える目的で湿布や塗り薬、飲み薬(消炎鎮痛剤)を使います。膝に多量に水がたまった場合は針を刺して内容液を取り除きます(関節穿刺)。また、関節の潤滑性を高め炎症を鎮める効果のある薬剤(ヒアルロン酸など)を関節内に注入する方法もあります。半月板の血行が良い部位では、自然に治癒する場合もあるので、まずは保存的に治療を行います。

( 手術 )

内視鏡(関節鏡)手術の進歩により,現在では小さな傷から半月板の損傷部位のみを切除して健常部分は温存する方法が一般化しました。この方法では手術直後から歩行が可能で、手術後1週間ほどで日常生活に支障がない程度まで回復します。
(画像2:正常な半月板、画像3:半月板損傷、画像4:損傷した部位を部分的に切除した状態)

画像2:正常な半月板
画像2:正常な半月板
画像3:半月板損傷
画像3:半月板損傷
画像4:損傷した部位を部分的に切除した状態
画像4:損傷した部位を部分的に切除した状態


半月板の損傷した部位が血行の良い部位で、受傷後早い時期であるなどの条件を満たす場合は、半月板を縫って直すことも可能です(半月板縫合術)。
縫合して直すメリットは、半月板の機能が損なわれないことで、デメリットは、再断裂の危険があることとリハビリ期間が長くなることです。
(画像5:裂けて前にずれた半月板、画像6:正しい位置に半月板を戻し縫合した状態、青く見えるのが縫合に使った糸)

画像5:裂けて前にずれた半月板
画像5:裂けて前にずれた半月板
画像6:正しい位置に半月板を戻し縫合した状態
画像6:正しい位置に半月板を戻し縫合した状態


文責:糸田 瑞央