膝蓋腱炎

概要と病態

膝蓋腱は大腿四頭筋から脛骨粗面に至るまでの膝伸展機構の一つであり、膝蓋骨から脛骨粗面に付着しています(図1)
 

図1.膝関節前面の解剖


膝蓋骨下端と脛骨へはenthesisで繋がっています。膝蓋骨後面はHoffa脂肪体が浸潤しています。
ジャンプやランニングの着地時、地面からの衝撃は脛骨粗面より膝蓋靭帯、膝蓋骨、さらには大腿四等筋に伝わり吸収されます。
膝蓋腱にストレスが加わり微小断裂が起こり痛みが出現します。共通の原因は使い過ぎです。


診断

膝蓋骨下端内側部に多く発症します(図2)

図2.膝蓋腱炎の疼痛部位


腱の変性の程度により痛みが異なりますが、スクワット時の痛み、圧痛があります。
病態の把握にMRI検査があり、腱の肥厚、腱内の高輝度変化などが認められます(図3)
膝蓋骨の疲労骨折の鑑別にも有用です。
急性期では超音波検査で血管の増生が認められます。
 

図3.a.膝蓋腱正常
図3.a.膝蓋腱正常
図3.b.膝蓋腱炎(☆印腱内高輝度変化と肥厚)
図3.b.膝蓋腱炎(☆印腱内高輝度変化と肥厚)


治療

保存治療が原則で、Blazinaらによる重症度により安静度を決めます。

Phase1:スポーツ活動後に痛みを自覚するが、スポーツには支障がない。
Phase2:スポーツ活動中、活動後に痛みがあるが、スポーツ活動に支障がない。
Phase3:痛みが常にあり、スポーツ活動に支障をきたす。

Phase1,2ではスポーツを続けながら治療を行ないます。
Phase3ではランニング、ジャンプ動作のスポーツ活動を休止し、患部の治療と平行して患部外のトレーニングを行ないます。
腱炎に対し痛みを軽減させ治癒を促進させる治療として、温熱療法、超音波療法、レーザー治療などの物理療法があります。
腱炎の発症誘因を是正させるため理学療法による治療が大切です。

1.大腿四頭筋(図4)、ハムストリングスのストレッチ(図5)
2.両脚、片脚スクワット
3.体幹,殿筋の強化
4.下腿三頭筋ストレッチ(図6)
5.カーフレイズ

図4.大腿四頭筋、ストレッチ
図4.大腿四頭筋、ストレッチ
図5.ハムストリングス、ストレッチ
図5.ハムストリングス、ストレッチ

図6.下腿三頭筋ストレッチ
図6.下腿三頭筋ストレッチ


などを指導しています。
保存療法を約6ヶ月行なっても改善が認められなかったり、再発を繰り返す難治性のときは手術療法を考慮しますが、術後もスポーツ復帰まで長期間要するため慎重な選択が必要です。
手術療法としては変性組織の切除、最近はradiofrequency技術を応用したMicrodebrider法が報告されています。

文責:菅原 誠