腸脛靭帯炎

概要と病態

腸脛靭帯は腸骨稜から大腿外側をとおり脛骨外側のガーディ結節に至る長大な靭帯です。
近位部では大腿筋膜張筋と大殿筋とも繋がっています。(図1)

図1.腸脛靭帯

膝関節の安定機構でもあります。
ランニングや自転車など、膝の屈伸をくり返すことによって、腸脛靭帯が大腿外側上顆の骨隆起の上を移動するため摩擦をくり返し、腸脛靭帯に局所的な炎症を起こして膝の外側に痛みが発生します。
オーバートレーニングが原因で発症する場合と、急に長距離を走ったり、山登りをしたときに発症する場合があります。
ある一定距離を走ると痛みを生じることや、下り坂を走る時に痛みを増すのが特徴です。
スピード練習によりストライドを広げることも要因となります。体型的要因として内反膝、回内足があります。


症状と診断

症状はランニング時、ランニング後の膝外側の疼痛であり(図2)、ある一定の距離を走ったときに疼痛が出現するのが特徴です。

図2.腸脛靭帯炎の疼痛部位

大腿骨外側顆に限局した圧痛を認めます。
疼痛の誘発テストとして、Grasping Test(図3), Ober’s Test(図4)があります。

図3.a.Grasping テスト
図3.a.Grasping テスト
図3.b.Grasping テスト
図3.b.Grasping テスト

図4.a.Ober'sテスト
図4.a.Ober'sテスト
図4.b.Ober'sテスト
図4.b.Ober'sテスト


治療

保存的治療が基本であり、手術治療の適応となることはほとんどありません。
まず原因となっているランニング量を減らす。しかし痛みが出現する直前の距離までのランニングは許可します。 
練習前後の腸脛靭帯のストレッチングは極めて有効です。(図5)

図5.a.腸脛靭帯ストレッチ
図5.a.腸脛靭帯ストレッチ
図5.b.腸脛靭帯ストレッチ
図5.b.腸脛靭帯ストレッチ



走行中に疼痛が生じたときもストレッチをしたあとウォーキングにきりかえます。
走行距離を急に伸ばしたり、インターパルトレーニングなどのスピード練習のやり過ぎ、道路の同じ側ばかり走ることなどに気をつけてください。

文責:菅原 誠