槌指

指の遠位指節関節( DIP関節,いわゆる第1関節 )が完全に伸びず曲がった状態が「槌指」です。末節骨についている指を伸ばす腱が断裂しておこる場合(腱性槌指)と、伸筋腱停止部の骨折を伴う場合(骨性槌指)があります。小児では骨端線の離開となることがあります。(図1)

図1
図1

スポーツでは球技による受傷が多く、とくに野球、ソフトボールとバスケットボールで多く発生しています。右手が圧倒的に多く、環指・中指・小指の順に発生しています。

症状と診断

ケガ直後から、DIP関節が曲がっており、発赤、腫れ、圧痛、運動時痛があります。

指の末端部のケガのため、「突き指」として軽視されがちです。
変形を放置して陳旧性となると治療が非常に困難となります。
正しい診断のもと早期の治療が大切です。手術をして直す場合と、手術をしないで直す場合があります。

保存的治療

指を伸ばす腱の断裂のときと、剥離した骨片が小さいときが適応となります。

腱性槌指ではDIP関節をできるだけ伸展位に保ちます。

骨性の槌指では、アルミの副子を曲げてDIP関節を軽度屈曲位から伸展位で固定します。(図2)
あるいはコイルスプリングの副子やプラスチック副子で固定を行います。

固定期間は、洗面や入浴時に短時間、副子をはずしてかまいません。毎日手を洗って清潔に保つように心がけます。
固定初期はDIP関節の背側は腫れており、絆創膏による圧迫で血行障害をおこすことがあるので注意が必要です。

図2.アルミ副子による固定

図2.アルミ副子による固定jpg
図2


手術的治療

手術適応となるのは(1)開放性損傷、(2)骨片が大きく関節面の1/3以上を占める場合、(3)DIP関節が掌側に亜脱臼しているときです。DIP関節伸展位のレントゲン写真で骨片の整復位が得られない場合は、骨片の大きさに関らず手術を考慮します。(4)腱断裂で保存的治療が選択できないとき(図3a,b)、陳旧例にも適応があります。

図3.腱性槌指に対するDIP関節の鋼線固定

図3.a.腱断裂による槌指jpg
図3a

図3.b.鋼線による固定
図3b



鋼線を皮膚の上から刺入して骨片のづれを直し固定する方法が一般的です。(図4a,b,c) 手術後は鋼線が皮膚から露出しているため、ピン刺入部からの細菌が入らないような注意が必要です。
ピンの刺入部の状態を毎日観察し、シャワーで患部を洗い流します。
鋼線は4週後に抜去し、その後自動的な可動訓練を行います。

図4.経皮的鋼線整復固定法

図4.a.骨折を伴った槌指
図4.a
図4.b.鋼線による固定pg
図4.b
図4.c.骨癒合
図4.c


リハビリの実際

体の末梢部の怪我であるため、原則として治療と平行してスポーツを継続します。
しかし投球側の示指・中指の受傷では投球動作が困難であり、副子を除去するまで体幹、下肢を中心としたトレーニングを行います。

保存的治療では6?8週間、手術的治療では4?5週間の固定が必要です。
固定を除去した後、まず自分で指の曲げ伸ばしの訓練から始めます。
健側の母指と示指でPIP関節を固定し、自力で最大限DIP関節を屈曲、伸展させます。

その後、健側の指で他動的にDIP関節を屈曲して可動範囲を獲得していきます。(図5a,b)固定を除去した後、伸展不足が徐々に出現するときはさらに1?2週間の固定が必要なことがあります。
夜間のみDIP関節を副子で1ヶ月ほど伸展位でさらに固定します。

図5.DIP関節の他動運動

図5.a.指の伸展
図5.a
図5.b..指の屈曲jpg
図5.b


予防

予防には、野球やソフトボールでは捕球の際、グローブやミットで確実に捕球するための基本動作の習得が大切です。
捕球の際、グローブに添えた手をしっかり背屈することがポイントです。(図6)

キャッチしたボールを素早く送球するために、グローブにそのまま手を添えがちですが、手関節の背屈が不十分であるとボールが指先部に当たりケガをしやすくなります。
野球以外の球技においても手関節をしっかり背屈してキャッチングすることが予防となるため、運動前の手関節の背屈、ぶん回し運動を充分に行ないます。

文責:菅原 誠