外反母趾(がいはんぼし)の治療

外反母趾とは足の親指(母趾)が指の付け根の関節(MP関節)から小指側に曲がる(外反する)変形のことです(写真1)。変形は外反だけではなくねじれも加わりますが(母趾の爪が正面ではなく内側を向く内旋という変形)、目立つ変形が外反であるため、病名としては外反母趾と言われます。日本では洋式の靴を履くような生活が中心になってから発生頻度が増加しており、性別では女性が患者のほぼ9割を占めると言われています。変形が強いケースでは、母趾の付け根の内側部分が腫れて痛みが起こり(この状態をバニオンといいます)、足の裏の指の付け根の部位には痛みを伴うタコ(胼胝 = べんち)ができ、母趾がとなりの指(示趾)の下に潜り込んで重なり靴を履くことが難しくなります(写真2、3)。原因として、生まれつき母趾が示趾よりも長い足(エジプト足)や開張足(幅が広い足)といった形の問題や、足の筋肉や靭帯が弱化して足の骨の配列が変化することや、ハイヒールを履くことで加わる足の負担などがあげられますが、単独の要因だけではなく、これらが組み合わさって起こると考えられます。また、リウマチや神経麻痺の結果として外反母趾が起こる場合もあります。


写真1.外反母趾の足
写真2.外反母趾の足の裏
写真3.バニオンと第3趾の変形


【診断】 

写真4.外反母趾の足のX線写真
特徴的な足の変形と、X線検査で容易に診断されます。X線ではMP関節を中心に母趾が外側に曲がり、右足ではひらがなの「く」の字のように変形します(写真4)。ただし、外反母趾があっても症状がないものは単に「外反母趾変形」があるというだけで、治療対象にはなりません。痛みや靴のトラブルなどの症状があってはじめて外反母趾は治療が必要となります。

【症状】 

体重をかけた時の母趾の付け根の痛み、痛みを伴う母趾内側の腫れ(バニオン)の形成、痛みを伴う足裏のタコ(胼胝 = べんち)の形成、母趾の変形に伴って第2・3趾(示趾・中趾)が曲がる変形(それに伴う痛み)や扁平足・開張足などが重なって足が靴に収まりにくくなるなどの症状が起こります。


【治療】 

保存的療法(手術以外の治療方法)と手術療法があります。

保存的療法

① 靴の工夫:
余裕のある靴を選んで履く、または費用はかかりますが靴専門店でオーダーメードの靴を作る方法があります。足の状態によっては病院で保険を使って治療用の靴を作ることもできます。これは足を直すのではなく、変形した足に靴の方を合わせて楽に歩けるようにする工夫です。
② リハビリ:
足指の筋力強化やストレッチを行い変形の矯正・予防を試みます。
③ テーピング:
絆創膏を使って変形を矯正します。病院のリハビリ部門で指導を受けることもできます。しかし、その都度絆創膏をまかなくてはならないという面倒があります。
④ 装具療法
写真5.治療用の靴の中敷き
インソール = 靴の中敷き(足底挿板):
一人一人の足の変形に合わせた凹凸のある中敷きを作って靴に入れて使うことで、痛みのある部分の負担を軽減します。病院で保険を使って作ることができます(写真5)
写真6. 治療用の装具
外反母趾用装具:
母趾と示趾の間にはさむ道具や、母趾を内側に引っぱる道具などを使って矯正を試みます(写真6)。市販品が各種あります。病院で用意できるものもあります。変形が強い足では長時間の使用が困難な場合もあります。

以上の保存的療法は主に軽症のものが対象になりますが、まずは医師にご相談ください。


手術療法

足の形を整えて症状を解決するための根本的な治療として手術が行われます。一般的には形を直すというだけの目的で手術は行いません。各種の保存的療法で症状が解決しない場合に手術が考慮されます。

手術の目的は変形の矯正と筋力のバランスの改善であり、足の骨と筋肉に手を加えることで形と機能を直し、結果的にバニオンやタコも消失していきます。たくさんの手術方法がありますが、当院では足の甲にある第1中足骨を切り、角度を矯正して固定する手術方法を選択しています(写真7、8)。手術を受けた患者の満足度は高い治療ではありますが、手術後は一定期間足に体重をかけすぎないような工夫も必要となり、社会復帰にはある程度の時間を要します。詳細については医師にご相談ください。

写真7.手術後の足(写真1と同一症例)
写真8. 手術後の足のX線写真(写真4と同一症例)


文責:糸田瑞央