変形性膝関節症(いわゆる膝のすり減り)

軟骨を中心とした膝関節内の構造物が徐々に加齢による変化を来たし、痛み、腫れ、変形などを生じるものです。
明らかな原因がなく年齢とともに進行する場合と,以前に受けた怪我などに引き続いて発生する場合があります。
年齢とともに進行するものは女性に多く、日本人では内側を中心に変性(すり減り)が進み、O脚になるものが多数を占めます。

[ 症状 ]

初期は歩行や膝を深く曲げた時の膝関節の痛みで、通常は安静にすると改善します。
また膝蓋骨(お皿)と太ももの骨の間の関節(膝蓋大腿関節)にすり減りがある場合、階段の昇降や立ち上がり動作などで痛みを感じます。
膝の炎症が強くなると関節に水(関節液)が溜まります。さらに進行すると、膝は変形してO脚になり、関節の動く範囲が狭くなります。

[ 診断に必要な検査 ]

レントゲン検査で、膝関節の変形を確認し、すり減り具合を推測します。MRIでは軟骨のすり減りの評価とともに、半月板や靱帯など関節内の主要な構造物の傷み具合を調べます。
レントゲン写真 正常な膝(画像1)とすりへった膝(画像2)

画像1:正常な膝
画像1:正常な膝
画像2:すりへった膝
画像2:すりへった膝


[ 治療方法 ]

原因のひとつが加齢による変化なので、治療により良くなる部分と良くならない部分があります。急激に進行するものではないので、すぐに手術はせずにいろいろな治療方法をためした上で、痛みが十分に改善しない場合は手術を考えてみてください。

  • 筋力訓練・減量:膝関節にかかる負担を少なくする目的で太ももの筋力を強くするリハビリを行います。
    また、肥満は症状発生や症状悪化の大きな因子なので、食事療法や減量のための運動療法なども有効です。
  • 薬物による治療:炎症によって強い痛みがある場合は、炎症を抑える目的で湿布や塗り薬、飲み薬(消炎鎮痛剤)を使います。
  • 装具療法(サポーターや靴の中敷き):膝関節が変形してぐらつくような場合は、支柱のついた装具で歩く時の不安定性を改善します。
    O脚の膝では、内側に負担が集中しないように底に傾きのついたの靴の中敷きで体重の負担を分散させます。
    膝装具(画像3)足底板(画像4)
画像3:膝装具
画像3:膝装具
画像4:足底板
画像4:足底板


  • サプリメントについて:ヒアルロン酸、グルコサミンなどの関節軟骨の成分をサプリメントとして補充することが、すり減った関節に有効かどうかは科学的な根拠が乏しいのが現状です。
    それらの成分を飲んで体内に取り入れても、血流の乏しい関節内の軟骨には有効な量が届きにくいと考えられます。

[ 手術療法 ]

内視鏡(関節鏡)手術:軟骨のすり減りや傷によるひっかかり、半月板など軟骨以外の関節構成体の損傷による症状をやわらげるため、内視鏡(関節鏡)を使って関節内を掃除する方法です。傷も小さく手術後早くから歩行できるため有用性が高い手術ですが、症状改善まで時間を要することがあります。
正常な膝とすりへった膝の内視鏡写真(画像5,6)

画像5:正常な膝
画像5:正常な膝
画像6:すり減った膝
画像6:すり減った膝


  • 脛骨骨切り術:O脚変形の強い例に対し、脛骨(すねの骨)を切って向きを矯正し、すり減っていない関節の外側に体重がかかるようにする手術です。切った骨が治るまでに時間がかかりますが、自分の関節をそのまま生かして治せることが最大の利点です。
  • 人工膝関節置換術:関節全体の変形が激しく、痛みや変形で歩くのに不自由がある場合に行います。
    損傷の激しい軟骨を削って、関節の表面を金属とプラスチックでおおいます。確実に痛みを取り除く効果が望めます。
    人工膝関節置換術後のレントゲン写真(画像7)
画像7:人工膝関節置換術後のレントゲン写真
画像7:人工膝関節置換術後のレントゲン写真

当院ではいずれの方法も対応できますので、まずは外来で御相談ください。

文責:糸田 瑞央