疲労骨折

[ 疲労骨折 ]

疲労骨折は骨に繰り返し外力が及ぶ結果生じたものであり、骨・関節に発生するスポーツ障害の代表的な障害の1つです。スポーツ人口の増大に伴い疲労骨折は希ではなく、日常しばしば遭遇する疾患です。疲労骨折のなかにはスポーツ種目により特徴的な骨折があります。

( 1. 原因および誘因 )

突然骨折をおこすような大きな外力ではなく走ったり、ジャンプなどの通常のスポーツ動作の繰り返し加わる外力により骨に微小骨折(顕微鏡レベルでは骨梁に部分骨折が生じている)が生じた状態です。疲労骨折の最初の状態は、骨のストレスに反応した骨吸収であり、経過にしたがい骨吸収と骨新生が複雑に交錯した状態が存在します。
また疲労骨折の発生のメカニズムとして、反復する外力が及ぶ結果、筋肉が疲労して骨に負荷が強く作用して骨折に到る場合と、繰り返しの筋肉の引く力により骨折をきたす場合も考えらます。 発生の誘因として急に練習量が増える時期に発生しやすいことが特徴です。私たちの調査でも、高校あるいは大学進学直後に発生しているものが全体の約71%を占めていました。

( 2. 症状 )

骨折を生じている骨の部分に痛みがあります。発生する骨は下肢の骨に多く、脛骨、中足骨、腓骨、大腿骨、骨盤などに発生しています。体幹では肋骨、腰椎に、上肢では中手骨に認められています。下肢の疲労骨折では歩けないほどの痛みが強い場合から、走れる程度の痛みまで痛みの強さは様々です。初期では普通の骨折のように腫れがありますが、内出血は認められません。

( 3. 診断 )

痛みの発生状況と骨の部分そのものに痛みがあることから診断します。ただ疲労骨折の初期ではレントゲンでは骨折像が現れず、2~3週間後にレントゲンで診断されることあります(画像1)。疲労骨折が疑われた時は時間の経過を追う必要があります。またレントゲンで骨折が現れない時に早期に診断する手段としてMRI検査があります(画像2)。また骨折がレントゲンに現れにくい骨(足根骨など)に対しては骨シンチグラフィーという検査もあります(画像3)

( 4. 治療 )

普通の骨折の治療と大きく異なる点は、骨折部の固定が必要ないことです。患部の安静のみで充分です。下肢であれば基本的には痛みの程度に応じて体重をかけて歩くようにしますが、松葉杖で部分免荷が必要なこともあります。
骨折部以外のトレーニングは積極的に行なうように工夫をして下さい。骨折部の痛みが軽減し、レントゲンでも仮骨(骨折が治癒するときの現れる新生骨)が認められたら徐々に負荷を上げていきます。早期に発見して治療を開始するほど早く骨折が治ります。

図1a:初診時,足部X線像
図1a:初診時
図1b:1ヶ月後
図1b:1ヶ月後
図1c:2ヶ月後
図1c:2ヶ月後



図2a:下腿X線像
図2a:下腿X線像
図2b:MRI T1強調画像
図2b:MRI T1強調画像
図2c:MRI T2強調画像
図2c:MRI T2強調画像



図3a:足部X線像
図3a:足部X線像
図3b:足部骨シンチグラフィー
図3b:足部骨シンチグラフィー


文責:菅原 誠