変形性股関節症

はじめに

股関節は大腿骨の球形の部分(大腿骨頭)が骨盤の受け皿(臼蓋)にはまり込んでできている関節です。骨盤の左右両側にあって体重を支え、立つ歩く走るなどの基本的な動作を担っています。大腿骨頭・臼蓋の表面は関節軟骨で覆われており、軟骨と関節液の働きによって滑らかに動かすことができます(図1)

図1.正常の股関節


変形性股関節症

股関節の軟骨が変性を起こしてすり減ったり余分な骨ができたりして関節の適合性に不具合が生じて関節が変形していく病気です。
患者さんの多くは女性で(男性の3~5月倍)、原因は先天性股関節脱臼の後遺症や臼蓋形成不全(図2)といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので全体の80%といわれています(図3)

図2.臼蓋形成不全

図3.変形性股関節症の病期


症状

はじめの頃は脚の付け根や臀部、大腿部のこわばりや重い感じがあり、歩き始めや長く歩いた際、階段の上り下りで痛みが起こります。
病気が進行すると股関節の動きが制限されて動いているときの痛みも強くなり、安静時や就寝時の痛みが出現するようになります。

治療

保存療法と手術療法の2つの治療法があります。

保存療法

まずは股関節の症状が悪化しないよう日常生活の工夫をすることが大切です。負荷のかかる動作を制限したり、長い時間歩く際には杖を使用したり、痛みが強い時には無理をしないよう心がけましょう。体重が増えすぎないようにコントロールすることも重要です。


●運動療法
変形性股関節症になると股関節周囲に炎症を起こし痛みを生じるため、どうしても体を動かすことが少なくなり筋力が低下し関節の可動範囲も狭くなってしまいます。痛みが強くならない程度に筋力トレーニング(特にお尻まわりの筋肉)やストレッチ、ウォーキング、プールでの水中運動などを行い、筋力の維持、可動範囲の改善、関節の血行改善を図ることが大切です。


●薬物療法
痛みが強く動くことがつらい時などには痛み止めを使用します。
長期間にわたって使い続けると消化器官などに影響を及ぼすこともありますので、痛みの程度に合わせて調節する必要があります。

手術療法

保存療法で症状が改善しない場合には手術療法を考えます。
手術療法には自分の関節を温存する骨切り術と人工関節に取り換える手術があります。


●骨切り術
大腿骨や骨盤の骨を切って股関節の形を変える手術です。大腿骨を骨切りする外反骨切り術・内反骨切り術、骨盤を骨切りする寛骨臼回転骨切り術などがあります(図4)

図4.骨切り術1
図4.骨切り術2

図4.骨切り術3



●人工股関節置換術
すり減って変形した股関節を金属やセラミック、ポリエチレンなどでできた人工物で置き換える手術です(図5)
図5.人工股関節置換術



股関節の痛みが繰り返したり長く続く場合には変形性股関節症の可能性があります。一度ご相談ください。

文責:目良紳介