半月板損傷のリハビリテーション

半月板損傷に対する治療には、保存療法と手術療法(部分切除術や縫合術)があります。
手術療法を選択した場合、スポーツ復帰は、部分切除術では2~3ヶ月、縫合術では約3~4ヶ月を要します。
手術後早期は、痛みや腫れが生じます。
術後リハビリテーションのポイントは、痛みや腫れを管理しながら半月板や膝にかかるストレスを軽減して運動療法を実施することです。
ここでは、単独での半月板損傷のリハビリテーションを説明します。

【保存療法】

可動域の改善運動は、痛みが生じない範囲で行います。
筋力運動は、痛みや半月板にストレスがかからないように行います。

【手術療法】
1.部分切除術

1)早期

図1. 可動域改善運動
図1. 可動域改善運動
手術直後は、患部の炎症(痛み・腫れ・熱感)が強く、アイシングを行います。
歩行は、手術後早期から松葉杖なし歩行が可能であり、体重をかける制限がありません。

可動域の改善運動は、痛みが生じない範囲で行います(図1.ヒールスライド)


筋力運動は、膝関節運動のない脚上げ(図2)やセッティング(図3)を行います。セッティングは、膝を伸ばして座り、膝裏を下に押し付けて太ももの前に力を入れます。また、患部以外では、体幹(図4.腹筋)・股関節(図5.外転)・足関節の運動も行います。

図2. SLR (1)
図2. SLR (1)
図3. setting
図3. setting



図4. 幹部以外(腹筋)
図4. 幹部以外(腹筋)
図5. 幹部以外(股外転)
図5. 幹部以外(股外転)


図6. 立ち上がり(正)
図6. 立ち上がり(正)

2)回復期

筋力運動は、セッティングや脚上げ運動から自分の体重を利用した運動に移行していきます。

具体的には、椅子からの立ち上がり(図6)やスクワット動作を行います。

このような動作を行う注意点は、膝へのストレスを回避するため、膝と足先の向きを同じにします。
筋力運動は、痛みや腫れを配慮しながら運動回数や負荷を調整して行います。

図7. ストップ動作
図7. ストップ動作

3)スポーツ復帰期

ジョギングは、スクワットなどの動作が安定し、痛みや腫れが悪化しなければ行います。
ジャンプ動作は、スクワット(両脚・片脚)が安定し、ジョギングなどで腫れが増強しなければ行います。その後、ストップ動作や方向転換などのスポーツ関連動作を取り入れていきます。

このような動作を行う注意点は、膝へのストレスを回避するため、膝と足先の向きを同じにします(図7)
異常動作がみられる場合、膝関節以外にも足関節や股関節など膝関節にストレスがかかる部位を評価し、その原因を改善しながら動作を行います。

2.縫合術

術後リハビリテーションの内容は、部分切除術と同様ですが、体重をかける事と可動域の改善運動の開始時期が遅れます。

1)早期

手術後1週間は、縫合部位を保護する必要性があるため体重をかける事と可動域の改善運動を行いません。
筋力運動は、部分切除術と同様の内容を行います。

2)回復期

体重をかけるのは、松葉杖を使用して手術後1週目から部分的に開始します。
可動域の改善運動は、手術後1週目から行います。
膝を深く曲げることは、縫合部位へのストレスがかかるため制限します。
自分の体重を利用した筋力運動(スクワット)は、手術後2週目以降に行います。
可動域の改善運動や筋力運動は、狭い可動範囲から行い徐々に拡大して行います。

3)スポーツ復帰期

部分切除術と同様に進めていきます。

*当院では、手術中の所見、術後の経過、各種動作を医師及び理学療法士が確認してからリハビリ内容の変更・許可やスポーツ復帰の時期を決定します。

文責:小田 孝