転倒予防

家のなかで転んでしまい、立って歩けなくなったおばあちゃんが救急車で運ばれてきました。X線検査で大腿骨頚部骨折(脚のつけねの部分)が判り、早く歩けるようにするため手術を行ない元気になって退院していきました。このおばあちゃんように転倒により簡単に骨折を起こしてしまうことがありますが、その原因として、骨粗鬆症が基にあり骨が弱くなっているためと、脚・腰の筋肉が弱くなったり、運動機能や感覚機能が低下しているためバランスが悪くなっていることが考えられています。65才以上では30~40%のひとが転倒を経験しており、80才をすぎると急激に転倒頻度が高くなります。転倒の約半数は家の中で発生しており、そのうち半数が部屋、1/4が階段や廊下で発生しています。いったん転倒を経験すると、新たな転倒を恐れて活動性が低下しがちです。

転倒で一番困ることは、骨折を起し活動レベルが低下したり、最悪の場合、寝たきりとなることです。お年寄りが転倒したときに骨折しやすい部位は、大腿骨頚部の他に、脊椎、上腕骨頚部(腕の付け根、肩の部分)、橈骨遠位端部(手関節の部分)があります。

東京大学の武藤芳照教授らは「高齢者の転倒、骨折そして寝たきりや介護を予防することは、高齢者ばかりでなく、高齢者とともに暮らす家族、社会にとっても重要かつ深刻な課題となりつつある」という観点から、転倒を予防する取り組み「転倒予防教室」を行なっています。転倒を生活習慣のひずみの結果としてとらえ、日常生活の中でいかにからだを動かすことができるかに主眼をおいています。「一日転倒予防教室」において、

  • (1)転倒は原因ではなく結果である、
  • (2)ふだんが大事、
  • (3)ストレッチングとしっかり歩くことが基本、
  • (4)よく水をのむこと、
  • (5)転んでも起きればいい、

特に「転んだらもうおしまい」と考えるのではなく転ばないにこしたことはないが、仮に転んでケガをしても、ちゃんと回復して、また起きればいいということを強調しています。

ふだんから積極的にからだを使い、からだの機能を最大限に発揮するようにすることが、転倒にたいする最大の予防対策です。簡単でいつどこででもできるのが「歩く」ことです。買い物でも散歩でも自分で歩くことを意識していると、自然に歩く習慣がついてきます。ゲートボール、ゴルフ、ランニング、山登りなど、好きな運動があれば何でもかまいません。転倒を恐れずどんどん参加して下さい。