熱中症

夏になり、スポーツに汗を流す季節になりました。また全国高校大会や甲子園大会に代表される、様々な競技大会も真夏に行われるため、合宿や強化練習が盛んに行われる季節でもあります。
夏のオリンピックも近年8月に開催されるようになりました。夏はスポーツ活動にとって重要な時期ですが、同時に暑さからくる危険に充分注意を払わなければなりません。
暑いときの運動で最も多く発生する障害が熱中症です。熱中症とは、暑熱環境で発生する障害の総称で、従来は熱失神、熱疲労、熱けいれん、熱射病に分類されていました。最近では発症現場での対応を考慮し、I度(軽症)、II度(中等症)、III度(重症)の重症度の分類がされています。最も重症なのが熱射病、III度熱中症で、死亡事故にもつながります(表1)。

  熱失神 熱けいれん 熱疲労 熱射病
意識 消失 正常 正常 高度な障害
体温 正常 正常 ~39度 40度以上
皮膚 正常 正常 冷たい 高温
発汗
重症度 I 度 I 度 II 度 III 度

表1:熱中症重症度

昭和50年から平成21年までの35年間におけるスポーツ中の死亡は133人にのぼります。運動種目としては野球、ラグビー、サッカーの屋外球技に多く発生していますが、柔道、剣道、ハンド、バレー、バスケなど屋内競技でも熱中症が発生しています(図1)。
スポーツによる熱中症は無知と無理によって健康な人に生じるものであり、適切な予防処置さえ講ずれば防げるものです。

図1:学校の管理下における熱中症死亡事例 (昭和50年~平成21年)

熱中症とは?

熱中症は脱水を基盤として発生します。マラソンのように運動が長時間に及ぶ競技では、多量の発汗により体液が喪失されます。その結果、脱水や塩分不足により循環不全に陥ると熱疲労となり、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状を引き起こします。
また、運動、発汗、脱水の悪循環が意識障害(うわごとや、呼んでも答えないなど)や諸臓器の機能不全を招き、熱射病へと発展します。熱射病は極めて重篤な状態で死亡率も高く、全身冷却とともに速やかな処置が必要です。
一方、熱けいれんは発汗による水分と塩分が欠乏した状態で、水分のみを補給すると血液が希釈され、体内電解質バランスに不均衡を生じて低ナトリウム血症を生じ、四肢のけいれんが発生すると言われています。けいれんは下肢、特に大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)、ハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)に生じ、けいれん時激しい痛みを伴います(図2)。

図2:熱中症病態