子どもの成長とスポーツ

こどもの頃にスポーツに親しみ、楽しむことは身心の発育、発達を促す優れた手段であるだけでなく、生涯にわたって運動をする習慣を身につけるためにも大切です。スポーツはからだやこころにとっては刺激です。適度の刺激であれば、発育・発達が促進されます。しかし、刺激が強すぎるとストレスとなって、からだやこころの障害を引きおこすことになります。

近年、スポーツに参加するこどもが増加する一方、こども達をとりまくスポーツ環境は大きな変化が生じてきています。以前は遊びとしてのスポーツが主体であったのに対し、最近は組織化されたスポーツ、すなわち少年団活動や、クラブ活動が主体となっています。そして活動の目的が勝つこと、記録の向上に目が向けられすぎる傾向にあります。

またからだが大きくなったにもかかわらず体力の低下も指摘され(図1)、からだの変調をきたしている子どもも多くなっています(表1)。

(図1)

図1-a.11才50m走の年次推移

図1-b.11才ソフトボール投げの年次推移

(表1)

  1 2 3 4 5
1978年 背中ぐにゃ 44% 朝からあくび 31% アレルギー 26% 背すじがおかしい 23% 朝礼でバタン 22%
1990年 アレルギー 87.3% 皮膚がカサカサ 72.6% すぐ「疲れた」
という
79.4% 歯並びが悪い 69.9% 視力が低い 68.9%
1995年 アレルギー 88.0% すぐ「疲れる」
という
77.6% 視力が低い 76.6% 皮膚がカサカサ 71.4% 歯並びが悪い 70.8%
2000年 アレルギー 82.2% すぐ「疲れた」
という
79.4% 授業中
じっとしていない
77.5% 背中ぐにゃ 74.5% 歯並びが悪い 73.2%
2005年 アレルギー 82.4% 背中ぐにゃ 74.5% 授業中
じっとしていない
72.5% すぐ「疲れた」
という
69.9% 皮膚がカサカサ 65.7%
2010年 アレルギー 76.6% 授業中
じっとしていない
72.3% 背中ぐにゃ 69.3% 視力が低い 67.2% すぐ「疲れる」
という
63.5%

※子どものからだの調査2010(”実感”調査)より

平成22年度、全国のスポーツ少年団登録は、3万6029団体、総数は86万4547名にのぼります。最も団員の多いのは軟式野球17万4493名です。次いでサッカー15万5249名、バスケットボール7万3481名、バレーボール 5万6273名、剣道5万2221名と続いています。

そもそもスポーツ少年団は、将来の日本をになうこども達の、健全なからだとこころを育てるために創設されました。育成の基本として5つの理念をかかげています。その中で、スポーツの本質のとらえ方として、ドイツのスポーツ哲学者カールディームの、”スポーツは遊戯としての遊びに始まり、競技としての遊びに終る”という考え方を参考にしています。つまり、スポーツは本来人間にとって遊びであり、遊びを通して、健全なからだとこころの発育を促し、スポーツという”文化”を育てていくことであると思われます。