健康寿命と運動

これまで「スポーツとからだ」というでテーマで、中高年の運動器とスポーツとの関わりについて解説してきました。スポーツを、いわゆる競技スポーツ、レクレーションスポーツだけではなく、からだを「動かす」という意味で日常生活全ての「からだの活動」ととらえてきました。
2020年には65才以上の高齢者が25%になると予測されており、その後もさらに高齢者人口の割合が増え続けます。それにともなって要介護老人も増えます。元気で丈夫な高齢者でいられることが今後の日本を支えると言っても過言ではありません。 「健康寿命」とは、一生のなかで健康に暮らせる期間であり、日常生活に支障のない生存期間ともいわれます。したがって、平均寿命と健康寿命との差が要介護状態での生存期間となり、この期間をできるだけ短くすることが理想です。

健康寿命の延伸を目的に、2000年から政策として健康づくり運動(健康日本21)と介護予防事業が展開されています。前者は生活習慣病の予防を目的として、9分野ごとの2010年度の日本人の健康水準について目標値を設定し、達成に向けた運動をしています。後者は要介護に陥ったり、要介護状態のさらなる悪化を予防することを目指して活動しています。

健康寿命を伸ばす方法として、東北大学の辻一郎教授は次の3点を指摘しています。

腱康寿命を損なう病気や事故を予防すること。
転倒・骨折が要介護の主要原因の一つであることから、転ばないこと、転んでも骨折しないようにすることをあげています。例えば、立ったままズボンをはく動作には4秒以上片脚で立っていなければなりません。からだをしっかり支える筋力とバランスが必要です。
老化のスピードを遅らせること。
年とともに運動機能は低下していきますが、それは老化によるものだけではなく、運動不足によるものも含まれており、両者が相乗的に運動機能を低下させています。老化自体による運動機能の低下は避けられませんが、運動不足そのものは治すことも予防することも可能です。老化と運動不足による運動機能の低下の悪循環を断ち切るためには、積極的にからだを動かすことが最も効果的です。
心身の機能を貯めること。
お金は使うほど減っていきますが、筋肉は使うほど貯まります。すなわち運動をして筋肉をためる「貯筋」をしましょう。
健康な80歳の生活行動から健康老人12カ条がつくられました。

  1. 食事は一日三回規則正しく
  2. よくかんで食べる
  3. 野菜、果物など植物繊維をよく食べる
  4. お茶をよく飲む
  5. たばこは吸わない
  6. かかりつけ医師を持っている
  7. 自立心が強い
  8. 気分転換のための活動をしている
  9. 新聞をよく読む
  10. テレビをよく見る
  11. 外出をすることが多い
  12. 就寝・起床時間が規則的

このように健康で元気な高齢者は常日頃からからだを動かしていることが共通しています。運動により生活を活動的に変えることにより、食生活、日常生活も改善されます。さらに「貯筋」により、スタミナがつき血管が若返ります。「やり過ぎ」さえしなければ健康を保つ手段としてスポーツは最適です。 自分の好きなことを好きなようにやり、がんばりすぎず、年だからとあきらめないで、前向きに元気に活動的に生きるようにしたいものです。