体温調節のメカニズム

ヒトの体温は、脳に組み込まれたサーモスタットの働きにより、ほぼ37℃になるように調節されています。
これは体内の熱の発生と、発生した熱の外部への放散のバランスがとれ一定に保たれているからです。
ヒトは安静状態でも筋肉、肝臓、脳、心臓、腎臓などの臓器から一定の熱が発生され、生きている証拠でもあります。一般成人でおおよそ1分間に1Kcalの熱が発生されています。
運動を行うと全身の骨格筋が働くために熱の発生が高まります。運動時の代謝が安静時に比べ何倍の代謝であるかを示す印としてメッツ(Mets)という単位が使われています。
表2は色々な活動でのMetsで示された運動代謝が表されていますが、ランニングがいかに運動強度が高いかがわかります。

メッツ 活動内容
3.0 自転車エルゴメーター:50ワット、とても軽い活動、ウェイトトレーニング(軽・中等度)
ボーリング、フリスビー、バレーボール
3.5 体操(家で。軽・中等度)、ゴルフ(カートを使って)
3.8 やや速歩(平地、やや速めに=94m/分)16分
4.0 速歩(平地、95~100m/分程度)、水中運動、水中で柔軟体操
卓球、太極拳、アクアビクス、水中体操
4.5 バドミントン、ゴルフ(クラブを自分で運ぶ。待ち時間を除く。)
4.8 バレエ、モダン、ツイスト、ジャズ、タップ
5.0 ソフトボールまたは野球、子どもの遊び(石蹴り、ドッジボール、遊戯具、ビー玉遊びなど)
かなり速歩(平地、速く=107m/分)
5.5 自転車エルゴメーター:100ワット、軽い活動
6.0 ウェイトトレーニング(高強度、パワーリフティング、ボディビル)
美容体操、ジャズダンス、ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分以下)
バスケットボール、スイミング(ゆっくりしたストローク)
6.5 エアロビクス
7.0 ジョギング、サッカー、テニス、水泳:背泳、スケート、スキー
7.5 山を登る:約1~2kgの荷物を背負って
8.0 サイクリング(約20km/時)、ランニング:134m/分
水泳:クロール、ゆっくり(約45m/分)、軽度~中強度
10.0 ランニング:161m/分、柔道、柔術、空手、キックボクシング
テコンドー、ラグビー、水泳:平泳ぎ
11.0 水泳:バタフライ、水泳:クロール、速い(約70m/分)、活発な活動
15.0 ランニング:階段を上がる

表2:「3メッツ」以上の運動

熱の放散は、ほとんどが体表面からの伝導と対流、放射、蒸発によって行われています。運動時は特に発汗による蒸発で気化熱が体から奪われ、体温の上昇を防いでいます(図3)。
ヒトでは皮膚の平均温度が30℃を越えるとき、または運動などにより体温が上昇したとき発汗が起こります。汗は自動車のエンジンをラジエターの水で冷やすような役割をしています。
気温の上昇や運動により多量の汗をかき、水分と塩分が失われ、水分代謝に大きな影響を与えます。発汗によって失われた水分は、飲水によってのみ補われます。

図3:熱の産生と放散のバランスによる体温の調節機能   (厚生労働省:職場における熱中症予防対策マニュアルより)