中高年の運動

平成14年7月13日、大雪山系トムラウシ山で台風6号の荒天下、登山中の58才と59才の女性が遭難死しました。平成21年7月16日にはツアーガイドを含む9名が死亡するあまりにも痛ましい事故が起こりました。昨今、中高年の登山が盛んになり、山岳遭難の約8割は中高年者で10年前の2.4倍にのぼっています。

登山に限らず他のスポーツでも中高年の参加者が急増しており、外傷や障害も増加しています。ランニングやゴルフなどのスポーツ中の突然死も中高年に多く発生しています。このような中高年のスポーツにおける事故の予防として、自己のからだについて体力レベルや疾病の状態を認識することが最も大切です。つまり自分自身のリスク管理です。定期的な健康診断を受け、特に心臓循環器系の異常があるかどうかのチェックは欠かせません。中高年における運動時の注意点を紹介します。

  1. 若い時とは違いからだの機能が低下しています。持久力、筋力、柔軟性などスポーツにかかわる全ての体力要素が低下しています。したがって自分の体力レベルに合わせた運動計画が大切です。練習時間は少なめに、休息は多めにとるようにしましょう。登山であればゆっくりすぎるくらいの歩調で、30分ごと5分、あるいは1時間ごと10分位の休憩が目安となります。休み過ぎもからだが冷えて調子が崩れます。水分の補給を充分に行なって下さい。登山事故の多くは午後に発生しています。日が暮れると行動力が低下し、道に迷ったり、転倒、滑落しやすくなります。朝早く出発して午後早めに目的地に到着するように計画して下さい。
  2. スポーツの前には準備運動を充分に行ないます。特に筋・腱、関節が硬くなっているためストレッチングは入念に行なって下さい。
  3. 体力の低下に伴って、技術の発揮も変化してきます。若い時簡単にできたプレーが難しくなったりします。一段低いレベルで少し余裕をもったプレーを心がけましょう。
  4. 中高年になってから始めたスポーツでは、技術の拾得まで若い時より時間がかかります。あせらずじっくり取り組みましょう。登山では技術の未熟、対応が命取りになることがあります。気象の判断、ルートの検索など登山の基本知識が求められます。自分自身の身を守るためには、他人にたよるのではなく、自分の目、耳、鼻全ての五感を働かせる訓練も必要でしょう。
  5. スポーツの継続でからだの痛みを感じたり、万が一怪我をしたときは早く専門医に見てもらって対処してください。活動レベルが高く、スポーツを継続する希望があれば、年齢に関係なく外科的治療の対象となり、もとのスポーツができるようになります。