中高年の運動のしかた

加齢により全身のあらゆる組織の退行変性が進み、その結果、加齢とともに体力が低下します。しかし、体力要素の中でも平衡性、柔軟性、瞬発力が加齢による低下が著しいのに対して、敏捷性、筋持久力、全身持久力は比較的保たれています。体力水準の低下とともに、生理的な予備能力の低下、トレーナビリティの低下、回復力の低下が認められます。また、運動能力の個人差が拡大していることも認識する必要があります。 このような加齢による生理学的な特徴を踏まえ、中高年が運動をするときの注意として次ぎのようなことが挙げられます。

  1. 不規則な運動よりも、ランニング、水泳、自転車、登山など有酸素運動で、しかもリズミカルな運動を行う。
  2. 体を鍛え、競技能力を高めることに主眼をおくのではなく、体を動かすことに楽しみを求めること。
  3. 個人の体力に応じた運動を処方する、などであります。

健康作りを目指した運動の目安は、個人の有酸素能力に応じた運動強度が用いられます。酸素摂取量と心拍数がある程度相関することから、運動強度の目安を知るために心拍数が測定されます。健康作りのための運動は、50%から60%の運動強度にあたり、それぞれの年齢に応じた心拍数の目安が示されています。

1989年、厚生省は健康作りのための運動の目安について、各年齢について運動時間、心拍数を提示しています。50歳代であれば、心拍数が1分間に115拍の運動を1週間に合計150分行うことを目標としています。
一方、前述の2006年の健康作りのための運動指針では運動の強さをメッツで採用し、運動強度と時間をかけたエクササイズで表し、週2,3エクササイズ以上を推奨しています。運動を継続することにより、加齢による生理機能の低下、器官の退行変性の抑制に効果があります。
また、運動は体力を維持し、健康的な日常生活を営むために有用なばかりではなく、肥満、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの成人病の予防にも効果があります。その結果、体力が維持され、生活能力が高まり、生活の質が向上されることが期待されます。