テニス肘

テニスは相手と楽しみながら行え、技術の修得によりレベルの向上が自覚できます。試合をおこなうことにより、競技の緊張感、楽しみも体験できます。

テニスをプレーするとき、ボールを追いかけ良い位置でボールを打つために、全身の持久力と脚力が必要となります。
「判断の早さ」「予測の正確さ」「動作の俊敏さ」などの要素が必要となります。さらに、ラケットでボールを打ち、ボールをコントロールするための技術が必要です。
打球のスピードは、飛んできたボールの速さと、ラケットの振りの速さで決まります。打球の方向はラケットの面の方向で決まります。
そして、ラケットのスウィトスポットにボールがあたれば、ラケットの振りに関係なく、ガットの反発力でボールが打ち返されます。ボールがスウィートスポットから離れるにしたがって、ガットの反発力は弱まり、逆に大きな振動が発生します。このとき、ラケットをしっかり握っている手首の筋肉の付け根に大きな負担がかかります。
また、ボールや相手のプレーヤーを追う眼の働きと、体の動きにはは密接な関係があります。
眼に入ってくる刺激に対して、体を動かし始めるまでの時間を反応時間といいます。
この反応時間は、20歳をすぎるとしだいに延びてきます。年をとってくると、体の反応が鈍くなってくるのもそのためです。

ところが、テニスを継続していると、年をとっても反応時間が短く、すばやく体を動かすことができます。つまり、テニスのような運動がスムースに行われるとき、大脳の運動野(運動を司る中枢)と呼ばれる部分と、小脳が盛んに活動します。また、目標に向かって運動をするためには、その順番とか、どのような運動をしたらよいかを判断するため、前頭野という部分が活動します。すなわち、頭と体全体を使って運動するため、脳の働きが活発となり、脳の老化を防ぐ効果があるといわれています。また、運動によって精神的なストレスの解消にも役立ちます。  

テニスの後、徐々に肘が痛くなったり、プレー中にミスショットなどで突然肘に痛みが生じることがあります。とくにバックハンドストロークで発生します(図1)。

図1.バックハンド
図1.バックハンド



このような障害をテニス肘とよんでいます。

実際には、テニスとは関係なく肘痛が生じ、物を持ったり、タオルを絞ったり(図2)などの日常生活動作に支障をきたすことが多いようです。
20歳以下の若年者におこることは稀で、30歳以上の中高年に多く発生しているのが特徴です(図3)。

図2.タオルしぼり
図2.タオルしぼり
図3.年代別テニス肘経験者(柏木大治,1979)
図3.年代別テニス肘経験者(柏木大治,1979)



テニス肘の本態は、手首を手の甲の方に持ち上げる筋肉(短橈側手根伸筋)が、上腕骨の外側に付着している部分でおこっている障害です(図4)。

図4.上腕骨外上顆炎の病態
図4.上腕骨外上顆炎の病態



加令により、手首を持ち上げる筋肉が硬くなったり、骨についている部分が弱くなっているために起こります。テニスだけでなく日常生活の中でも肘に負担が加わったときに肘痛が発生します。
テニス肘は慢性化することが多く、根気よく対処する必要があります。肘痛が出始めた2-3日は、氷などで冷やしてください。それ以上日にちが経っていれば、積極的に暖め、障害部位の血行を促すことが大切です。タオルで暖めたり、入浴時に熱いシャワーを肘に当てたりしてください。また、手首を下げたり上げたりして、手首を持ち上げる筋肉、手首を下げる筋肉を伸ばし、筋肉の柔軟性を保ちます(図5)。

図5.a.前腕の筋肉のストレッチ
図5.a.前腕の筋肉のストレッチ
図5.b.前腕の筋肉のストレッチ
図5.b.前腕の筋肉のストレッチ



痛みがとれてきたら、筋力トレーニングも併用します。筋力トレーニングといっても、ボールを握ったり、手首を持ち上げる動作を20-30回繰り返す程度の簡単なもので充分です。テニス肘バンドも、手首の筋肉を圧迫し、筋肉の付け根の負担を軽くするため効果があります(図6)。

図6.テニス肘バンド
図6.テニス肘バンド



実際にボールを打つのは、ラケットを持って素ぶりをしても肘痛がないことを確かめてから始めて下さい。その際、フォアハンドから始め、バックハンドはなるべくスウィートスポットに当てるようにこころがけてください。
痛みが強いときは局所麻酔薬とステロイドの注射をすることもあります。保存療法で治らない時は手術(腱切離術、肘関節鏡下手術)をすることがあります。