スポーツ外傷・障害の対策と予防

外傷はある程度不可抗力でおこることが多く、外傷が起こったときの適切な対処についての知識で充分です。スポーツ外傷に対する現場での応急処置は、ICE処置です。I はIce(氷などで冷やすこと)、C はCompression(患部を圧迫すること)、E はElevation(患部を心臓よりも高くすること)の頭文字をとったものです。現場ですぐにICE処置を行うと、出血や腫れが抑えられるため、ケガも早く治ります。冷やす手段としては、氷が最も手軽です。したがって、グランドにはアイスボックスにいれた氷、氷を入れるビニール袋と伸縮包帯を用意しておくとケガにたいしては万全です。
スポーツ障害の発生はトレーニングと密接な関係があります。こども達に障害が発生したときは、トレーニングについてもう一度見直す必要があります。そして、障害をおこしたこどもに対しては、完全に休ませるのではなく、障害部位を保護しながらトレーニングを続けることができるように配慮することが肝要です。

こどものスポーツ障害を予防するためには、まず指導者や父兄が次の点を充分理解することが望まれます。成長期には競技成績やゲームに勝つことに重点をおくのではなく、発育、発達の階段に応じた運動を行うこと。スポーツに必要な動作のたくみさ、持久力、筋力などはそれぞれ異なった時期に発達します。(図4)

(図4)

したがって、①適切な時期に、適当な運動を行わせることが、最も効果的なトレーニングであると言えます。例えばサッカーの基本動作であるドリブル、ボールのハンドリング、シューティングなどを、できるだけ遊びの中で習得できるように”工夫”すること。②単にサッカーだけでなく、できるだけ多種目のスポーツを行い、走る、飛ぶ、投げる、泳ぐ、滑る、蹴るなどの様々な基本動作を体験、修得させること。宮下は、5才頃までに、スポーツの基本運動動作を習得しておかないと、その後の高度の技術習得に大きな支障となることを説いています。③競技ではなく(勝利を目的とするのではなく)ゲーム中心に楽しみながらスポーツを覚えさせること。④適度な練習量にとどめること。⑤身体的な個人差が大きいため、練習内容に幅をもたせること、などであります。

また、近年小学生や中学生レベルの地方大会、全国大会の数が増加しています。これらの試合に勝つために、そして過熱する父兄の要望に答えるために、指導者は小学生の頃からハードトレーニングを課する傾向があります。こども達が、スポーツ活動によってからだやこころの障害をきたし、ドロップアウトしていかないためにも父兄、指導者は勝利至上主義を改める必要があります。そのためにも小学生のスポーツ大会への参加はできるだけ制限するか、メンバーをかえてなるべく大勢の選手を出場させることが求められます。大人にはこどもの自主性を尊重し、生涯にわたってスポーツが継続できるよう、こども達を暖かく見守ってやる責任があります。