スキー傷害と予防

アルペンスキーは冬期スポーツとして、我が国では最もポピュラーなスポーツです。自然の中で滑走出来る爽快なスポーツであり、年齢、体力レベルに応じてそれぞれの楽しみ方が出来ます。日本でのスキー人口は1993年の年間1800万人をピークに、最近では6~700万人にまで減少していますが、レクリエーショナルスポーツから競技スポーツに至るまで様々なレベルでスキーが行われています(図1)

(図1)

レジャー白書

近年、スキー板の形状が大きく変化し、回転性が著しく向上したカービングスキーが主流となりました。極端に短いファンスキーも登場しスキーの楽しみ方も多様になっています。スキー外傷は、スキー板、スキーブーツ、ビンディング等用具の影響を強く受け、スキー用具の変化と共に、傷害の内容も大きく変化しています。プラスチックブーツ開発以前のスキーブーツは、革やゴム製で柔軟性に富んでおり、ビンディングもスキーとブーツを強固に固定する仕組みでした。当時最も多かったスキー外傷は、足関節外果骨折で“スキー骨折”とも呼ばれていました。その後出現したプラスチックブーツ、リリースビンディングにより下腿の骨折の発生が防止された為著しく減少し、その代わり膝外傷が増加しています。

I . スキー傷害の発生頻度
母集団となるスキー場への入り込み人数の算出が不可能である為、正確な発生頻度の算定は困難です。我が国においては全国スキー安全対策協議会が全国数十ヶ所のスキー場からのスキー傷害を集計し、各スキー場で運輸省に提出しているリフトの輸送人数を母集団とするのが最も信頼されるデータです。輸送人員10万人あたりの受傷者数はおよそ6人前後で推移しています。平成8年からはスノーボーダーの受傷が増加している為、スキー場全体の傷害発生頻度は増加しています(図2)

(図2)

全国スキー安全対策協議会

欧米では受傷率を一日あたりスキーヤー1000人に対して何名受傷したかという表現をしています。最近ではおおよそ2.0 per 1000 skiers dayと報告されています。

II . スキー傷害の推移
1970年頃からプラスチックブーツとリリースビンディングの普及により、スキー傷害の様相が著しく変化しました。傷害の種類として捻挫、脱臼、打撲が微増、骨折が減少傾向を示しています。部位別傷害の年次推移は足関節捻挫と下肢骨折、頭、顔面切挫傷の減少が著しく、膝関節捻挫と肩関節脱臼が増加しているのが特徴です(図3)

(図3)