こどものスポーツ外傷・障害

スポーツをしていると外傷(ケガ)や障害(故障)がつきものです。成長期にはこども特有の外傷や障害があります。

一般にスポーツ外傷とは、骨折や捻挫など、1回の大きな外力が働いておこるケガのことをさしています。スポーツ障害とは、投球による肘痛、肩痛、ランニングやジャンプによる膝痛など、くり返し小さな外力が加わっておきてくる故障のことをさしています。

日本体育協会スポーツ科学委員会では”若年者におけるスポーツ外傷・障害とその予防に関する研究”を行っています。調査したスポーツ少年団員2万1682名(男子1万5742名、女子5940名)のうち、過去に何らかの外傷や障害を経験したことのある団員は11.9%存在します。中学生は54.1%、高校生では62.5%と、学年が上がるにつれて外傷や障害の頻度が高くなってきています(図2)。とくに注目すべきは少年団員の22.8%に骨軟骨の障害が発生していることであり、軟骨を傷つけてしまっていることです。

(図2)

少年団、中学、高校部活におけるスポーツ外傷と障害の割合

また、少年団活動が原因で、外傷や障害を起こして病院を受診した613名(男子469名、女子144名)の調査も行っています。外傷と障害の比率を検討すると、外傷が30.4%であるのに対し、障害は69.6%と圧倒的に障害の方が多いことが特徴です。一方、中学生、高校生なると、障害が減り外傷が増える傾向があります。表2は疾患別内訳を示しています。

(表2)

少年団 中学 高校
膝伸展機構の障害 80 膝伸展機構の障害 305 足関節捻挫 220
野球肘(内側) 74 足関節捻挫 191 腰痛 196
足関節捻挫 43 突き指 142 膝伸展機構の障害 127
踵骨骨端症 42 腰痛 110 シンスプリント疲労骨折 94
突き指 37 野球肘(内側) 72 膝靭帯損傷半月板損傷 88
腰痛 26 前腕骨折 68 突き指 83

※スポーツ少年1991より

少年団員の障害で最も多いのは、膝伸展機構の障害、すなわちオスグッド病や膝蓋靭帯炎などです。これらの障害は、バスケットボールやバレーボールのジャンプ動作や、陸上競技やサッカーなどのランニング動作により多く発生します。膝の伸筋(大腿四頭筋)を使いすぎると、筋肉の疲労が蓄積し、膝のショック吸収材能が低下します。そのため膝蓋腱(お皿の下にある太い腱)や、膝蓋腱付着部の脛骨粗面(すねの骨の出っぱっている部分)に加わる負荷が増加して炎症がおこり、膝前面の痛みとして発症します。一度、オスグット病が発症した場合、大腿前面にある大腿四頭筋と、大腿後面にあるハムストリングスのストレッチングが非常に有効です。痛みの出始めは、なるべく冷やして炎症を抑えるようにします。1~2週経った状態では、むしろ患部を暖め、血行を促進して治りを促進してやることが大切です。

私達はオスグッド病の発症と身長の伸び(思春期スパート)の関係を調査しています。疼痛の発現時期は、思春期スパート中に発症しているものが最も多く83.7%を占めていることがわかりました。身長が急速に伸びる時期は、骨の成長が関節周囲の筋肉・腱の成熟より早いため、筋肉・腱が急激に引き伸ばされます。そのため膝蓋腱付着部の脛骨結節の緊張が強い状態となり、オスグッド病の発症の誘因となっているものと考えられます。したがって、思春期スパートにあるこども達のトレーニングでは、たえず成長段階をチェックしておくことが大切です。膝の痛みがでたときには、早めに練習量を調節し、痛みを増強させない配慮が望まれます。