松田整形外科記念病院の医療への取り組み、スポーツ整形への取り組み、新しい技術を紹介します

足の捻挫(ねんざ)とその後遺症について

足の捻挫(足関節及び足部の捻挫)は外傷の中でも極めて頻度が高く、一説によると1日に人口1万人あたり1人が受傷すると言われているので、札幌市で言えば毎日200人くらいが捻挫している計算になります。
足関節は構造上、横方向では外側より内側に大きく動くため、怪我をする頻度も内側にひねって起こることが多いのです。つま先が下を向いた状態で足首を内にひねる動作(土踏まずの内側が上を向くような形)を内がえしといいますが(画像1)、その方向に過剰な力が加わって捻挫することが最も多く、その場合には足首の外側が伸ばされて外くるぶしの前方と足の距骨をつなぐ前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)が過度に緊張してまず損傷します。
程度が強ければ足首の外側の別の靭帯(踵腓靭帯 = しょうひじんたい)をさらに損傷します(画像2)

画像1:うちがえしの足

画像1:うちがえしの足

画像2:足外側の靭帯損傷(靭帯の一部は省略)

画像2:足外側の靭帯損傷(靭帯の一部は省略)


足のひねり方によっては、足首の内側の靭帯や足の甲の部分の靭帯を痛める場合もあります。
また、怪我の状況が同じようであっても靭帯の損傷に止まらずに骨折が起こる場合があります。
この場合は骨折の治療を行います。子供では特に靭帯が断裂するかわりに靭帯の付着する骨の表面が剥がれる剥離骨折(はくりこっせつ)という状態になる場合があり、たかが捻挫と侮っていると重症の怪我の治療が遅れて後遺症を残す場合もあり、注意が必要です。

[ 症状 ]

足関節や足の痛みによって歩きにくくなります。損傷した部分を中心に腫れて皮下出血により色が変わります(画像3)
時間が経過すると腫れや変色は広い範囲に広がります。靭帯が完全に断裂した場合は、関節が不安定になり、適切な治療を行わなければ後に捻挫を繰り返したり、関節表面の軟骨を損傷したりして、日常生活やスポーツ活動に障害をきたす場合があります。

画像3:腫れて内出血した足

画像3:腫れて内出血した足

[ 診断 ]

怪我をした時の状況(足の位置がどうであったか、どの方向にひねったか)が損傷部位を判断するために重要な情報となります。
損傷した部分は押すと痛みを感じます。損傷した場所と程度を確認するために医師は患者さんの痛い部分を押して確かめます(治療のために必要なので許してください)。
レントゲン撮影では骨の損傷がないかを確かめます。靭帯が断裂して関節が不安定になっていないか確認するためにストレス撮影というレントゲン検査をする場合があります。
これは足首をひねったり引っ張ったりした状態でレントゲン撮影するもので、それで関節が異常な動きをしないか確かめます(これも痛い検査です)。(画像4)

画像4:捻挫をした足のレントゲン写真

画像4:捻挫をした足のレントゲン写真

画像5:足のストレス写真 = 内側に大きく傾き、外くるぶし側が開いている

画像5:足のストレス写真 = 内側に大きく傾き、外くるぶし側が開いている


また、靭帯の損傷程度を確認するためや、レントゲン検査で評価できない骨の内部の状態と軟骨の損傷状態を確認するためにMRI検査を行う場合もあります。

[ 治療 ]

外側靭帯損傷では、早期に適切な治療を行えば手術が必要になることはまれです。
つまり治療の基本は保存療法(手術以外の治療)です。
保存療法には、ギプスなどによる固定療法と早期運動療法があります。
固定療法は数週間のギプス固定を主体とした治療方法です。
早期運動療法は、怪我の初期に短期間固定を行ってから早い時期にサポーターでの歩行を開始し、足関節の外側に負担のかかるひねり動作を防御しながら積極的にリハビリを行う方法です。
その他の靭帯の損傷でも基本的にはこのような保存療法が主体となります。

[ 当病院の治療方法:特に外側靭帯損傷について ]

足関節周囲の捻挫でも多数を占める外側靭帯損傷の治療方法を紹介します。
当病院では基本的に早期運動療法を行っています。まず、病院に来た患者さんを診察して状態の評価を行った後、損傷の程度に応じて1~2週間の足関節ギプス固定(初期固定)を行います(画像6)
この間、患者さんはギプスの足に体重をかけて歩くことはできますが、つけはずしはできないので入浴はできず、ギプスを濡れないように保護してシャワーを使わなくてはなりません。初期固定が終わった後はギプスをはずし、リハビリを開始すると同時に足首をひねらないように保護するサポーターをつけます(画像7)

画像6:足関節のギプス

画像6:足関節のギプス

画像7:足にサポーターを装着した状態

画像7:足にサポーターを装着した状態


リハビリでは腫れと痛みで動かしにくくなった足の動きを回復させ、足関節周囲の筋力を強化して関節の安定性を高めます。
炎症や痛みを早めに取り除くように超音波治療を併用し、必要なケースではテーピングの指導も行います。
また、リハビリのメニューで自宅でも行えるものは覚えて自主トレーニングとして行うことが重要です。
サポーターは入浴時や歩かない時にはずすことができ、上から靴を履くことも可能です。
サポーターの使用期間やスポーツの復帰時期は運動内容やけがの重症度に左右されるので、定期的に診察しながら医師がアドバイスします。

[ 捻挫の後遺症 ]

捻挫の治療が早期に適切に行われなかった場合や、患者さんが諸事情で治療を受け入れなかった場合に関節の不安定性や痛みが残ることがあります。
長期間が経過した後に関節の不安定性が残った場合には、保存的治療で十分に改善させることは困難です。
この場合に確実に関節の不安定性を改善させる方法は手術療法です。
手術の内容は、靭帯修復術や各種の靭帯再建術などの方法があり、関節の状態に応じて選択します。
手術を望まないケースに対しては、リハビリによる関節周囲の強化、運動場面などでテーピングやサポーターを使用するという方法で対処します。
また、捻挫に合併して関節表面の軟骨が損傷した場合、断裂した靭帯や剥がれた軟骨が関節内ではさまる場合などで痛みが持続する場合があります。
この場合、内視鏡を使用した手術を考慮します。

文責:糸田 瑞央