松田整形外科記念病院の医療への取り組み、スポーツ整形への取り組み、新しい技術を紹介します

人工膝関節手術 ~長期間調子良く使える人工膝関節手術を行います~

[ 長持ちする人工関節とは? ]

膝関節の軟骨のすり減りが重度になり、飲み薬や注射で十分な効果が得られなくなった患者さんには、手術が検討されます(詳しくは当院ホームページの変形性膝関節症の項目をご覧下さい)。人工膝関節手術は膝関節の痛みを劇的に改善させ、関節の動きを保つことができるすぐれた手術方法です。(図1)
近年では人工関節も改良され、一般の整形外科病院で広く手術が行われるようになっています。しかし、人工関節には耐用年数があり、いずれは骨との間にゆるみが生じたり、すり減りが起こったりする運命にあります。
では、人工関節を長持ちさせる秘訣とはなんでしょうか?それは、人工関節を正確に骨に設置することです。

図1:人工膝関節

図1:人工膝関節

[ 人工関節を正確な位置に入れることが最も大切なのですが・・・ ]

人間が歩行する際に膝には瞬間的に体重の3倍もの力が加わります。体重がかかる方向と人工関節の方向にわずかな狂いがあれば、長期間にわたり数百万歩も歩くうちに人工関節と骨にすき間が生じ、また人工関節表面の特殊なプラスチックもすり減りが生じます。そのため、人工関節を正確な位置に入れることがたいせつなのです。
手術の際には膝関節の表面部分しか骨が見えないので、手術前の計画通りに人工関節を正確に設置することは簡単ではありません。手術中に骨と人工関節の正確な位置関係を把握して狂いなく設置することには限界があり、これまでは手術を行う医師の経験や 技量を頼りに手術が行われてきました。

図2:ナビゲーションシステム

図2:ナビゲーションシステム

[ 新しい手術方法「ナビゲーション手術」ってどんなもの? ]

この問題を解決して人工関節を正確に骨に設置できるのが、「ナビゲーション手術」です。ナビゲーション手術では、手術する骨にアンテナを立てて、その位置情報をコンピューターが手術中常時とらえます。手術する医師は自分の持つ道具が骨のどの位置にどのような角度で当たっているかを画面で確認しながら作業を進めます。これによって筋肉や靭帯のバランスなども考慮しながら正確に人工関節を骨に設置できます。(図2~4)

図3:ナビゲーションシステムを使った手術

図3:ナビゲーションシステムを使った手術

図4:手術部位の近くにアンテナをつけています

図4:手術部位の近くにアンテナをつけています

これは、知らない土地で運転をする際にカーナビゲーションによって正しく目的地に導かれることに良く 似ています。
もちろん、カーナビが正確でも運転者の技術が未熟であれば事故が起こり得るように、手術でも熟練した医師がナビゲーションシステムを正しく使わないと本来の効果が得られません。
当院では2010年より人工膝関節手術にナビゲーションシステムを導入し、熟練した医師が手術・治療に当たっています。

[ 傷の大きさはどれくらい? ]

 
近年手術においてはMIS(最少侵襲手術)という考えが普及して、手術をする部位に加わる負担ができる限り少ない手術が重要と言われています。人工関節に関しても関節周囲の筋肉をなるべく切らずに、傷も大きくない手術が普及してきています。しかし、人工関節においては傷の小さいことが大切なのではなく、何よりも長い期間調子良く使えるように正確に手術を行うことが大切です。当院でも、可能な限り手術部位の負担が少ない方法を心掛けていますが、傷の大きさは必要に応じた大きさとなります。(糸田医師の人工膝関節手術で平均的な傷の大きさは12cm、その他に手術中に使うアンテナの小さな傷が2ヶ所できます)(図5)

図5:手術の傷(右膝人工関節)

図5:手術の傷(右膝人工関節)

[ 手術後のリハビリがたいせつです ]  

 
人工膝関節の手術成績は一般に安定したものと言われています。しかし、その関節を動かすのは筋肉であり、ひどく変形した膝からまっすぐの膝に変わった場合には筋肉の環境も変わります。(図6,7)
うまく人工関節を使って歩く、滑らかに膝を曲げ伸ばしする、階段の昇り降りや外歩きなど実用的な動作を安全に行う、これらを実現するためには手術後のリハビリがたいへん重要です。当院では、患者さん個々の状態に合わせて、実用的な歩行ができるまで丁寧なリハビリを行います。

図6:手術前のレントゲン像

図6:手術前のレントゲン像

図7:人工膝関節手術後

図7:人工膝関節手術後

[ まずは医師にご相談ください ]  

「手術をすすめられたけど、私の膝は手術をしなければ治らないの?」「手術方法は人工関節以外にないの?」「手術はひどくつらいのでは?」など、不安をお持ちの患者さんも多くいらっしゃいます。お話だけでもうかがいますので、まずは診察にいらしてください。

文責:糸田 瑞央