松田整形外科記念病院の医療への取り組み、スポーツ整形への取り組み、新しい技術を紹介します

肉離れのリハビリテーション

  ここでは、最も発生が多いハムストリング(太ももの裏面)の肉離れに対するリハビリ方法を紹介します。ただし、再発が多い故障ですので、不安な点がある場合は医療機関に判断を仰ぐ方が安全です。

1. 急性期(受傷直後)

  受傷直後はアイシングや弾性包帯による圧迫などにより、受傷部の保護と炎症のコントロールを行うことが最優先ですので、傷害の程度にもよりますが、受傷後3~5日間はストレッチングや筋力トレーニングなどのリハビリは行いません。

2. 亜急性期

  受傷後3~5日が経過し、痛みが落ち着いてきたら、リハビリを開始しても大丈夫かを下記の方法で確認したうえで、リハビリを慎重に開始します。

図1 ハムストリングのストレッチ

図1 ハムストリングのストレッチ

リハビリ開始の目安の検査方法

  受傷後3日が過ぎたら、ハムストリングをストレッチし、痛みを確認します。筋肉が引き伸ばされる感覚(ストレッチ感)を、痛みを伴わずに感じることができれば、リハビリを開始しても大丈夫だと判断します。図1のように仰向けで太ももの裏を抱え、ヒザをゆっくりと伸ばしていくことで筋肉をストレッチし、確認します。

リハビリテーション実施例

□ ストレッチング
  検査で痛みを感じなければ、まずはストレッチングからリハビリを開始します。検査と同様、図1の方法で行います。筋肉が軽く伸びる程度の強さで、ゆっくりと30秒間行い、3~5回繰り返します。
□ 筋力トレーニング
  肉離れは筋肉やその周囲が損傷する外傷のため、受傷後は筋肉が弱ってしまいます。その状態でスポーツに復帰すると再受傷しやすくなってしまうため、筋力トレーニングが必要となります。トレーニングすることにより、受傷部に刺激が与えられ、治癒を促進する効果も期待できます。トレーニングは以下の方法で行います。
図2 ヒップエクステンション

図2 ヒップエクステンション

■ヒップエクステンション (図2)

  1. うつぶせの姿勢
  2. 受傷している脚をまっすぐ伸ばしたままで後方に挙げる
  3. 痛みが発生する直前、もしくは骨盤が浮き始める直前まで挙げ、ゆっくりと降ろす
  4. 上記①~③を繰り返す
図3 レッグカール

図3 レッグカール

■レッグカール (図3) 

  1. うつぶせの姿勢
  2. 受傷している脚の膝をゆっくりと90°曲げる
  3. ゆっくりと降ろす
  4. 上記①~③を繰り返す

  当院では、ヒップエクステンションやレッグカールを行う際に、受傷部の回復具合を理学療法士が確認したうえで、動作姿勢を変えたり、重りを巻くなどして、段階的に負荷を高めていきます。

□ 協調性トレーニング
  受傷後2週間ほど経過し、日常生活で痛みを感じず、上記の筋力トレーニングが問題なく行えるならば、床に足をついて体重をかけた状態でのトレーニングを開始します。これにより、ハムストリングと他の筋肉に同時に力が入ることになり、よりスポーツ動作に近い筋肉の使い方でトレーニングすることができます。
ハーフスクワット (図4)

ハーフスクワット (図4)

■ハーフスクワット (図4)

  1. 両足を肩幅程度に開いて立つ
  2. 上半身を前に軽く倒しつつ、股関節・膝を曲げてお尻を下げる
  3. 膝が45°曲がるところまでお尻を下げたらストップ
  4. ゆっくりと開始姿勢に戻る
  5. ①~④を繰り返す
■ブリッジエクササイズ (図5)

  1. 仰向けで、膝を90°曲げた姿勢
  2. 腰が反らないように腹筋に力をいれながら、ゆっくりとお尻を挙げる
  3. 身体と太ももが一直線になったらストップ
  4. ゆっくりとお尻を降ろし、元の姿勢に戻る
  5. ①~④を繰り返す

図5 ブリッジエクササイズ

図5 ブリッジエクササイズ

  当院では、理学療法士の指導により、ブリッジエクササイズの膝の角度を徐々に浅くしていくなどして、ハムストリングにかかる負荷を調整し、安全かつ効率的なトレーニングとなるように工夫しています。

3. 回復期

  以上のようなトレーニングを痛みや不安なく行えるようになったら、スポーツ復帰に向けた運動を開始します。まずはジョギングから始めて、痛くなければジャンプやダッシュなど、それぞれのスポーツに必要な動作を行い、完全復帰を目指します。
急に強い負荷がハムストリングにかかると肉離れを再発する恐れがあるため、スポーツ医学に詳しい方が周囲にいなければ、病院で運動の指導を受けた方が安全です。

4. 再発予防

  ハムストリングスの肉離れは、走行中に起こることが多いと言われています。原因としては、不適切な走行姿勢やフォームが挙げられ、それを改善することで、再受傷の確率を下げることができると考えられます。
  当院では、患者さんそれぞれの身体的特徴や、走行中の姿勢を分析して受傷原因を探ります。そして、その原因を修正することによって、安全に、かつ競技力を落とさずにスポーツ復帰できるよう、リハビリを進めています。
  また、損傷部位の治癒を早める効果を持つ超音波療法を併用し、より強い筋肉の線維を作ることによって再発のリスクを抑え、早期にスポーツ復帰できるようサポートしています。