松田整形外科記念病院の医療への取り組み、スポーツ整形への取り組み、新しい技術を紹介します

スポーツ障害

コラム:女性とスポーツによる外傷・障害

女性のスポーツ活動への参加が活発になるに従い、スポーツ障害も増加しています。女性特有の形態的(骨盤が広い、X脚、皮下脂肪が多いなど)、機能的(筋力が低い、運動能力が低いなど)な特徴に基づく内的要因に、トレーニングという外的要因が障害の発生に関与しています。女性運動選手の3徴候(The Female Triad)として、1)摂食障害2)運動性無月経3)骨粗鬆症があります。オーバートレーニングによるストレスが摂食障害をきたし、体重が減少、とくに体脂肪の減少により運動性無月経となり、骨密度が低下し疲労骨折を発生します。また運動性無月経が持続すると不妊の原因となります。成長期の骨量低下はすなわちpeak bone massの低下を意味し後の骨粗鬆症の発来を早めることになります。このような現象は特に持久性のスポーツや体操、新体操、バレーなどに多く発生しています。

最近アメリカスポーツ医学会は摂取エネルギーと運動消費によるエネルギー不均衡、運動ストレスがホルモンバランスの異常(視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモンが増加、LHのパルスパターンの乱れを生じ月経の異常)が運動性無月経(functional hypothalamic amenorrhea)の原因と指摘しています。LHのパルスパターンの乱れをもたらすエネルギーレベルが30Kcal/Kg,除脂肪体重/日以下であり、さらにエネルギー摂取が30Kcal/Kg,除脂肪体重/日以上では生理現象が正常化し、骨量の増加が認められたことを根拠としています。

疲労骨折はあらゆる年令層で発生し、発生部位にも性差が認められないものが多いなか、女性に多い疲労骨折として恥骨疲労骨折があります(図3)。女性の骨盤は広いため、ランニングなどの動作で恥骨下行枝に付着する短内転筋、薄筋と長内転筋の作用が増強するためと考えられる。また骨粗鬆症による骨の脆弱性を基盤に、軽運動や繰り返して発生する疲労骨折もあります(図4)。

図3.恥骨疲労骨折

図3.恥骨疲労骨折

図4.日常歩行で発症した踵骨疲労骨折

図4.日常歩行で発症した踵骨疲労骨折