松田整形外科記念病院の医療への取り組み、スポーツ整形への取り組み、新しい技術を紹介します

自分のからだをコントロールできる筋力を

コラム:スポーツとからだ

日常の生活で活動したり、スポーツでからだを使うためには筋肉のはたらきが必要です。加齢により筋力も低下しますが、筋力の低下はまず下肢、体幹の筋からはじまり、上肢の筋は後となります。15~20歳の筋力を100とすると60才になると、上肢の筋は約20%、下肢の筋は約30%筋力が低下します。

筋力の低下は男女には違いがないこと、トレーニングにより高齢者の筋力が増加することから、加齢に伴う筋の退化には日常の活動が大きく影響しています。また筋力は筋の断面積に比例しますが、筋の断面積当たりの筋力は年齢には関係していないことから、加齢による筋力低下は筋の断面積の減少することに起因しています。つまり活動の減少により筋肉が細くなってしまったためです。
筋肉は筋繊維という筋肉の細胞の束からできており、筋繊維には筋の収縮速度は速いが疲れやすい繊維(タイプII)と収縮速度は遅いが疲れにくい繊維(タイプI)の2つのタイプがあります。加齢によりタイプII繊維はタイプI繊維より筋萎縮が大きく起こり、素早い動きがにがてになるのもそのためです。

自分のからだを支え、コントロールする筋で最も大切な筋は太ももの前にある大腿4頭筋と呼ばれる筋です。加齢により筋力の低下が最もはっきり現れる筋でもあります。この大腿4頭筋の筋力は膝関節伸展力を検査することで知ることができます。体重とほほ匹敵することから、体重当たりの膝関節伸展力を体重支持指数(WBI)として運動の指標とすることができます。歩行で0.4以上、ジョギングで0.6以上、激しい運動で0.9以上が必要とされています。簡便に知る手段としては、イスから片脚で立ち上がることができると0.6以上の筋力があります。
大相撲の力士は確かに筋力は高いのですが体重も多いため、180Kg越える力士ではWBIが0.7以下でふつうの人レベルの値であり、体重が重すぎるとからだを支える筋力が不足することが指摘されています。

大腿4頭筋の強化として一番効果的な方法にスクワットがあります。足を肩幅位に広げて立ち、しゃがむ運動です。できるだけゆっくりしゃがみ、最初は膝を浅い角度にとどめておき、筋力がついてきたらもっと深く膝を曲げるようにしてください。5~10回から始め20~30回くらいできるようになれば充分です。片脚で行なうと大腿4頭筋への負荷はもっと大きくなります。100才を越えてもいまだ現役スキーヤーであった三浦敬三先生は、80才を過ぎてからチューブを利用したスクワットを毎日かかざず行なっているそうです。